クアラルンプールカトリック日本人コミュニティ

クアラルンプールカトリック日本人コミュニティ

KL Japanese Catholic Community official site

マレーシアの異宗教間の対話と交流


多民族・多言語・多文化・他宗教が共存するマレーシアですが、平和的にそれぞれを
尊重し支え合う社会をめざし、信教の垣根を越え、市民レベル・宗教者レベル・
政府レベルで、随時ミーティングをする機会が設けられています。

マレーシアのカトリック新聞にあたる "HERALD" 紙に最近のミーティングの記事が
3本続けて載っていました。

1. Frank exchange of views at Christian-Muslim meeting

イメージ 2

記事の内容
☆☆☆☆☆☆☆
キリスト者とモスリムのフランクな意見交換会
ペナンのセバスチャン フランシス司教は2月29日、司祭で構成された代表団と
一般信徒たちと共に、ペナン島の中心にあるコムタビル48階ペナンイスラム法律顧問
事務所に、イスラム法律顧問とその同僚を訪ねた。
ペナン教区の司教が、ペナン州イスラム法律顧問を訪れるのは初めてだが、
これに先立ち、KLではジュリアン リュー大司教が連邦のイスラム法律顧問を先日
訪問したばかりだった。
この会議には、ペナン州イスラム法協議会のメンバーも参加し、儀礼的なあいさつを
越えた本音でのやり取りがなされた。

「イスラム教側からの見方は、我々は宗教の違いというのはそれぞれの身体的な違い
と同じようにとらえている。それは外見上や肌の色、文化や言語の違いと同じこと。
それは当然であり自然なことなので、各自が真摯に受け入れるべきだ。
この違いというのは神のご意志の一つである。我々はその違いに注目するのでは
なく、共通点を見つけ出すべきなのだ。なぜならそれがお互いが共通の課題だから。
しかしながらその共通課題のいくつかは、それぞれの解釈の違いが起こっている
可能性がある。それは霊的な側面、特に"自由主義"ということについて」

2時間以上にも及んだ密室での会議は、双方間で持ち上がる様々な問題点が話し合われた。一神教の宗教間で起こるお互いの不信感、両者ともがそれぞれの使命として
権限が与えられていることがそれである。
問題の1つとして持ち上がったのはイスラム法について、特に子供の改宗の是非に
ついて。
またイスラム法律顧問は "イスラム国 IS" やイスラム過激派をきっぱりと非難した。
彼らは勝手にイスラムという名を使っているが、イスラム教指導者からは認められて
いない。さらに彼らが使う "ジハード" という言葉は間違っている。

キリスト教側からはセバスチャン司教が、我々の生活や絆がおびやかされ、
過激派などから影響を受けたものが、分断や破壊を仕掛ける可能性があること、
さらに経済的・政治的問題を認めた。「我々はこうした問題を乗り越えて行かなくてはならない。今回こうして両者の架け橋となるよう、我々は呼び出されたのだ。
あなたが誰であろうと・・ジャーナリストであろうが、活動家であろうが、
宗教指導者であろうが、神は私たちに橋をかけるように我々をお呼び出しになった
のだ」

これらの対話とは別に、司祭の一人は両者の草の根活動を支援する必要性を
感じている。具体的には両宗教から集まる若者たちによる交流と、例えば地域の
清掃活動などの共同作業など。それらを通じてお互いを知り理解する手助けになる
だろうと。その他にも、イスラム教者とキリスト者、それに他の宗教の人々と一緒に
福祉活動に参加する、それはお互いの不信感を取り除くのに役立つだろう。

近いうちにまた会合の機会を設ける予定で、次はキリスト者の方がお招きすることで
お開きになった。
こうした対話は過去に何度も行われているが、いずれも表面的なものが多く、
今回のように深く話し会うことはまだ始まったばかりだ。
私たちは必ずよき友となれることを信じ、そして助け合うことができるだろう。
さらに深い話し会いと、指導者レベルにとどまらず民間レベルでの共通の活動を
通して、より深い相互理解に達することができるだろう。
これは長い旅路でまだ始まったばかりだ。またこれまで話し合いには女性の参加者が
なく、その点も今後の課題だ。
☆☆☆☆☆☆☆


2. Putrajaya unveils 32 new members of religious harmony panel

イメージ 4

記事要約
☆☆☆☆☆☆☆
政府が32名の宗教間調和の新委員を発表
クアラルンプールの行政部は2016年-2017年の"理解と調和を促進する宗教者委員会"
の32名の新メンバーを発表し、ナジブ首相から任命された。
キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンズー教などの各宗教から、またその各宗派からそれぞれの代表者が選ばれた。
ナジブ首相は「この多民族・多宗教の国家にあってはこうした機関を立ち上げなければいけない。協調して努力する必要がある。それが国家として一致と統一をもたらし強くなることだ。我々は国家の一致を目指して共に働かなくてはならない。様々な
問題は、真実と正義に基づいて解決されなければならない」
こうした努力は1957年の独立以来続いている。
「マレーシア人としてその共通のアイデンティティを持ち、核となる価値観を
持つべき。問題を作り出すことなく穏健さと互いの尊重、共に働くギブアンドテイク
の精神、解決を探す態度、またマレーシア連邦の憲法にも触れ、尊敬と共存をもって
一致してゆくことを強調した」
首相は委員会に対し、早急にマレーシアに調和と平和がもたらされるよう、各々が
役割をおこなうように命じた。
「我々は複雑な社会で生きているので、これからも問題はあるだろう。
しかしポジティブな態度で…。私は確信している。マレーシアは引き続き、
平和と調和の国になるだろう」
☆☆☆☆☆☆☆


3. Catholics, Muslims follow leader's cue, hold dialogue at National Mosque

イメージ 3

記事要約
☆☆☆☆☆☆☆
カトリックとイスラム教が国立モスクで対話
クアラルンプールで、カトリックとイスラム教の高位指導者グループが、1月に
会合を持ったのに続き、3月上旬も国立モスクにおいてミーティングと意見交換が
行われた。今回はカトリックの独身者と若者のグループのが口火を切り実現し、
様々な問題も、お互いの宗教に尊重し寛容であることの重要性を話し合った。
イスラム教者からは、どのように四旬節を過ごすのか?の質問にキリスト者が答え、
キリスト者からは、コーランではイエスはどんな預言者だと書かれているのか?
またイスラム教者からの質問、おん父とは?聖霊とは?の質問には神父が答えた。

今回は異宗教間に調和を築く一環としての活動だ。社会の一員としてお互いの
共通点や似ているところを探し、政治的な場面に進んでいったとしても、
互いの友情関係を築いて行く。対話の機会を設けるだけでなく、モスクや教会を
訪問し合い、礼拝にも参列、更には仏教寺院も訪問した。グループのリーダーは、
こうしたお互いの礼拝所の訪問は友情と理解を深めるのに、役立つだろうとのこと。
☆☆☆☆☆☆☆

                マレーシアの国花はハイビスカス "bunga raya" ブンガラヤ
イメージ 1

マレーシアは、他宗教・多民族・多文化が共存する平和で美しい国です。
すべては神さまがお造りになったもの。